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令和3年 – 問8 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題 8 法の一般原則に関わる最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 地方公共団体が、将来にわたって継続すべき一定内容の施策を決定した場合、その後社会情勢が変動したとしても、当該施策を変更することは住民や関係者の信頼保護の観点から許されないから、当該施策の変更は、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして、それにより損害を被る者との関係においては、違法となる。
2 租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用がなされることはなく、租税法規の適用における納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合であっても、課税処分が信義則の法理に反するものとして違法となることはない。
3 法の一般原則として権利濫用の禁止が行政上の法律関係において例外的に適用されることがあるとしても、その適用は慎重であるべきであるから、町からの申請に基づき知事がなした児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものであっても、それが、地域環境を守るという公益上の要請から生じたものである場合には、当該処分が違法とされることはない。
4 地方自治法により、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利につきその時効消滅については援用を要しないとされているのは、当該権利の性質上、法令に従い適正かつ画一的にこれを処理することが地方公共団体の事務処理上の便宜および住民の平等的取扱の理念に資するものであり、当該権利について時効援用の制度を適用する必要がないと判断されたことによるものと解されるから、普通地方公共団体に対する債権に関する消滅時効の主張が信義則に反し許されないとされる場合は、極めて限定されるものというべきである。
5 国家公務員の雇傭関係は、私人間の関係とは異なる特別の法律関係において結ばれるものであり、国には、公務の管理にあたって公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮する義務が認められるとしても、それは一般的かつ抽象的なものにとどまるものであって、国家公務員の公務上の死亡について、国は、法律に規定された補償等の支給を行うことで足り、それ以上に、上記の配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負うことはない。

正解4×

〔3-8〕

解説


地方公共団体が継続的な施策を決定した場合、住民や関係者は施策が続くことを期待するため、当該施策の変更は信頼保護の観点から許されないと思える。しかし、施策決定後に社会情勢の変動があっても施策の変更ができないと、必要のない施策を継続しなければならず、税金が無駄遣いされるおそれがある。「施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない」(最判昭56.1.27)。よって、1は誤りである。

2×
租税法律関係においても、法の一般原則である信義則の法理が適用される。ただし、「租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべき」である(最判昭62.10.30)。よって、2は誤りである。

3×
地域環境を守るという公益上の要請があっても、行政権の著しい濫用があるときは、違法となる。権利濫用禁止の原則とは、外形的には権利の行使とみられるが、その行為が行われた具体的な状況と実際の結果とを照らすと、権利の行使として法律上認めることが妥当でないと判断される場合、そのような行為は認められないことをいう。これは、法律関係全般に妥当する一般原則として行政上の法律関係にも適用される。よって、3は誤りである。

4〇
妥当である。信義誠実の原則(信義則)とは、一定の社会関係に立つ者は、お互いに期待される信頼を裏切らないように、誠意を持って行動すべきであるとする原則をいう。本肢では、地方自治法236条2項に基づき、地方公共団体が時効の援用をせずに消滅時効の主張をすることが、信義則に反しないかが問題となっている。しかし、地方公共団体による消滅時効の適用は、「法令に従い適正かつ画一的に」処理することが、「地方公共団体の事務処理上の便宜及び住民の平等的取り扱いの理念に資する」のであり、消滅時効の援用をしないことに必要性・合理性がある(最判平19.2.6)。したがって、地方公共団体が時効の援用をせずに消滅時効の主張をしても、特段の事情がない限り、適切な理由があって行っていることだから、相手方の信頼を裏切ったことにはならない。よって、信義則違反が認められるとしても、例外的な場合に限定されるため、4は正しい。

5×
国家公務員の公務上の死亡について、国は安全配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負うことがある。特別権力関係論とは、特別の公法上の原因(法律の規定または本人の同意)によって成立する公権力と私人との特別な法律関係を「特別権力関係」ととらえ、特別な法原則が妥当するという理論をいう。具体的には、①法治主義の排除②基本的人権の包括的制限③司法審査の排除である。しかし、基本的人権を根拠なく制限できるのは、基本的人権の尊重を掲げる憲法の理念に反するし、性質の異なる法律関係にある者すべてを形式的に同一に扱うのは、不合理である。したがって、今日では特別権力関係不要論が通説となっている。判例も、「安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はな」いとして、特別権力関係論を否定している(最判昭50.2.25)。よって、5は誤りである。

短答王国行政書士
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