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令和3年 – 問35 – 行政書士 民法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題35 Aが死亡し、Aの妻B、A・B間の子CおよびDを共同相続人として相続が開始した。相続財産にはAが亡くなるまでAとBが居住していた甲建物がある。この場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。なお、次の各記述はそれぞれが独立した設例であり相互に関連しない。

ア Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分 4 分の 1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。
イ Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。
ウ Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。
エ 家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。
オ 遺産分割の結果、Dが甲建物の所有者と定まった場合において、Bが配偶者居住権を取得したときには、Bは、単独で同権利を登記することができる。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・エ
4 ウ・エ
5 ウ・オ

正解ウ:エ×

〔3-35〕

解説

ア×
「Bは,Eに対し,登記なくして甲建物の全部が自己に属することを対抗できる」とする点が誤り。「相続させる」旨の遺言は,遺言者の最終的な意思を合理的に解釈すると,遺産分割方法の指定である。そのため,遺言により,甲建物は分割手続を経ずただちに相続人に承継される。しかし,これでは法定相続分を信頼した第三者Eの取引の安全が害される。そこで,相続人Bは,自己の法定相続分を超える部分(C及びDの持分)について,登記をすれば第三者Eに対抗できる(899条の2第1項)。したがって,Bは登記なくして甲建物の全部が自己に属することを対抗できない。
<条文> 899条の2・1項
<判例> -

イ× Bは,被相続人Aの配偶者である。相続開始後から遺産分割が終了して各相続人の持分が確定するまでの間,居住の継続を認めてBの利益を保護する必要がある。そこで,被相続人の配偶者が,相続財産に属する建物に無償で居住する場合、一定期間、建物を無償で使用する権利が認められる(1037条1項・配偶者短期居住権)。したがって,C及びDは,Bに対して甲建物を明け渡すよう請求できず,使用利益等についても不当利得返還請求権はない。よって,肢は誤り。
<条文> 1037条1項
<判例> -

ウ○
被相続人の配偶者が,相続財産に属する建物に無償で居住していた場合には、建物を無償で使用する権利が認められる(1028条1項・配偶者居住権)。しかし,被相続人が配偶者以外の者と建物を共有していた場合,配偶者居住権は認められない(同項ただし書)。共有者である第三者の負担が大きいからである。したがって,甲建物がAとFの共有の場合は,Bは配偶者居住権を取得しない。よって,肢は正しい。 <条文> 1028条1項 <判例> -

エ○
被相続人の配偶者は,相続財産に属する建物につき配偶者居住権が認められる。ただし,配偶者が無償で居住する場合,建物所有者の利益保護のため,居住権を取得できるのは民法が定める一定の場合に限られる(1028条1項各号参照)。もっとも,建物所有者の不利益を考慮してもなお配偶者の生活を維持する必要があるときは,例外的に居住権の取得を認める必要がある。したがって,裁判所がそのように判断すれば権利の取得が認められる(1029条)。よって,肢は正しい。
<条文> 1029条
<判例> -

オ×
「Bは,単独で登記することができる」とする点が誤り。配偶者が居住権を取得した場合には,配偶者保護のため,建物居住者が配偶者居住権設定の登記を備える義務を負う(1031条1項)。
<条文> 1031条1項
<判例> -

短答王国行政書士
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