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令和3年 – 問42 – 行政書士 多肢選択式 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題42 感染症法*の令和 3 年 2 月改正に関する次の会話の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢( 1 ~20)から選びなさい。

 教授A:  今日は最近の感染症法改正について少し検討してみましょう。
 学生B:  はい、新型コロナウイルスの感染症防止対策を強化するために、感染症法が改正されたことはニュースで知りました。
 教授A:  そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。
 学生B:  はい、それは講学上は[ ア ]に当たると言われていますが、直接強制に当 たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。
 教授A:  そのとおりです。この問題には決着がついていないようですので、これ以上は話題として取り上げないことにしましょう。では、改正のポイントにつ いて説明してください。
 学生B:  確か、当初の政府案では、懲役や 100 万円以下の[ イ ]を科すことができるとなっていました。
 教授A:  よく知っていますね。これらは、講学上の分類では [ ウ ]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。
 学生B:  はい、刑法総則が適用されるほか、制裁を科す手続に関しても刑事訴訟法 が適用されます。
 教授A:  そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批 判もあったところです。
 学生B:  結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[ イ ]ではな く、[ エ ]を科すことになりました。この[ エ ]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。
 教授A:  そうですね、制裁を科すとしても、その方法には様々なものがあることに 注意しましょう。
(注) * 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

1 罰金 2 過料 3 科料 4 死刑
5 公表 6 即時強制 7 行政代執行 8 仮処分
9 仮の義務付け 10 間接強制 11 課徴金 12 行政刑罰
13 拘留 14 損失補償 15 負担金 16 禁固
17 民事執行 18 執行罰 19 給付拒否 20 社会的制裁

正解

ア:即時強制(6)×

イ:罰金(1)×

ウ:行政刑罰(12)×

エ:過料×

〔3-42〕

解説

【完成文】 教授A: 今日は最近の感染症法改正について少し検討してみましょう。
学生B: はい、新型コロナウイルスの感染症防止対策を強化するために、感染症法が改正されたことはニュースで知りました。
教授A: そうですね。改正のポイントは幾つかあったのですが、特に、入院措置に従わなかった者に対して新たに制裁を科することができるようになりました。もともと、入院措置とは、感染者を感染症指定医療機関等に強制的に入院させる措置であることは知っていましたか。
学生B: はい、それは講学上は[ア.即時強制]に当たると言われていますが、直接強制に当たるとする説もあって、講学上の位置づけについては争いがあるようです。
教授A: そのとおりです。この問題には決着がついていないようですので、これ以上は話題として取り上げないことにしましょう。では、改正のポイントについて説明してください。
学生B: 確か、当初の政府案では、懲役や 100 万円以下の[イ.罰金]を科すことができるとなっていました。
教授A: よく知っていますね。これらは、講学上の分類では[ウ.行政刑罰]に当たりますね。その特徴はなんでしょうか。
学生B: はい、刑法総則が適用されるほか、制裁を科す手続に関しても刑事訴訟法が適用されます。
教授A: そのとおりですね。ただし、制裁として重すぎるのではないか、という批判もあったところです。
学生B: 結局、与野党間の協議で当初の政府案は修正されて、懲役や[イ.罰金]ではなく、[エ.過料]を科すことになりました。この[エ.過料]は講学上の分類では行政上の秩序罰に当たります。
教授A: そうですね、制裁を科すとしても、その方法には様々なものがあることに注意しましょう。


アには、「即時強制」が入る。即時強制とは、行政機関が、行政上の義務の賦課行為を介さず、国民の身体または財産に実力を加えて、行政上必要な状態を実現する作用をいう。「強制的に入院させる措置」のように、行政が国民の身体に実力を加える手段としては、「即時強制」と「直接強制」がある。両者は、行政上の義務の賦課行為の有無という点が異なる。本件では、入院措置に際し、「感染者」に「入院」の義務があるか解釈のわかれるところであり、義務がないとする立場からは「即時強制」とされる。よって、「即時強制」が正解となる。


イには、「罰金」が入る。「罰金」とは、金銭の納付を求める刑罰である。学生Bの発言から、イには「刑法総則が適用されるほか」、「手続に関しても刑事訴訟法」の適用があるから、刑罰が入ると予想できる。「100万円以下」と金額が指定されているため、候補は「罰金」か「科料」となるが、「罰金」は原則「一万円以上」(刑15条本文)、「科料」は「千円以上一万円未満」(刑17条)である。よって、「一万円」を超える金銭の納付を求める「罰金」が正解となる。


ウには、「行政刑罰」が入る。「行政刑罰」とは、行政上の義務の懈怠に対する、刑法による刑罰をいう。その特徴は、学生Bの言うように、「刑法総則が適用されるほか、制裁を貸す手続に関しても刑事訴訟法が適用」されることである。よって、「行政刑罰」が正解となる。


エには「過料」が入る。過料とは、行政上の義務違反に対して金銭を納付させる刑罰以外の制裁であり、講学上は「秩序罰」に当たる。実務上、反社会性の強い行為には「行政刑罰」、反社会性の弱い行為には「秩序罰」が科される傾向にある。本件でも「行政刑罰」では「制裁として重すぎる」と考えられたため、金銭を納付させる「秩序罰」を科したと考えられる。よって、「過料」が正解となる。

短答王国行政書士
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