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令和3年 – 問10 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題10 行政立法についての最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国家公務員の退職共済年金受給に伴う退職一時金の利子相当額の返還について定める国家公務員共済組合法の規定において、その利子の利率を政令で定めるよう委任をしていることは、直接に国民の権利義務に変更を生じさせる利子の利率の決定という、本来法律で定めるべき事項を政令に委任するものであり、当該委任は憲法 41 条に反し許されない。
2 監獄法(当時)の委任を受けて定められた同法施行規則(省令)において、原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないと定めていることは、事物を弁別する能力のない幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、法律によらないで被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該施行規則の規定は無効である。
3 薬事法(当時)の委任を受けて、同法施行規則(省令)において一部の医薬品について郵便等販売をしてはならないと定めることについて、当該施行規則の規定が法律の委任の範囲を逸脱したものではないというためには、もっぱら法律中の根拠規定それ自体から、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が明確に読み取れることを要するものというべきであり、その判断において立法過程における議論を考慮したり、根拠規定以外の諸規定を参照して判断をすることは許されない。
4 児童扶養手当法の委任を受けて定められた同法施行令(政令)の規定において、支給対象となる婚姻外懐胎児童について「(父から認知された児童を除く。)」という括弧書きが設けられていることについては、憲法に違反するものでもなく、父の不存在を指標として児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲を画することはそれなりに合理的なものともいえるから、それを設けたことは、政令制定者の裁量の範囲内に属するものであり、違憲、違法ではない。
5 銃砲刀剣類所持等取締法が、銃砲刀剣類の所持を原則として禁止した上で、美術品として価値のある刀剣類の所持を認めるための登録の方法や鑑定基準等を定めることを銃砲刀剣類登録規則(省令)に委任している場合に、当該登録規則において登録の対象を日本刀に限定したことについては、法律によらないで美術品の所有の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該登録規則の規定は無効である。

正解2×

〔3-10〕

解説


退職一時金の「利子の利率を政令で定めるよう委任」することは、憲法41条に反しない(最判平27.12.14)。理由は、法律が、予定運用収入に係る利率との均衡を考慮して利率を定めることを求めており、個別的・具体的な委任があるからである。
<関連知識>
・行政立法とは、行政機関が定立する規範をいう。行政立法は、法規命令と行政規則に区別される。
・委任命令とは、法律の委任により国民の権利・義務の内容を定める法規範をいう。国会による立法以外の実質的意味の立法は、憲法の特別の定めがある場合を除き、許されない(憲41条)(国会中心立法の原則)。しかし、行政を運営する上で法律の委任を認める必要性があり、委任命令を前提とする規定(憲73条6号但書)もある。そこで、個別的・具体的な委任があれば、委任命令は憲法違反とならないとされる。

2○
「被勾留者と幼年者との接見を許さない」と定める監獄法施行規則は、「法の委任の範囲を超える」ものといえ、「無効である」(最判平3.7.9)。理由は、監獄による接見制限は、逃亡・罪証隠滅の防止、監獄内の規律・秩序の維持が目的であるが、それには接見の時間や手続き等の制限をすれば十分で、接見を一律に禁止する必要はないからである。

3×
薬事法施行規則の「規定が法律の委任の範囲を逸脱」するか判断する際、「立法過程における議論を考慮したり、根拠規定以外の諸規定を参照して判断すること」ができる(最判平25.1.11)。理由は、「立法過程における議論」や「諸規定」から、委任の範囲を判断するのに必要不可欠な委任の趣旨が読み取れるからである。

4×
児童扶養手当法施行令の「括弧書き」を設けたことは、「政令制定者の裁量の範囲内」ではなく、「違憲、違法」である(最判平14.1.31)。理由は、児童扶養手当の趣旨は、現実に父から扶養を得られない児童の生活保障にあるのに、「父から認知された児童を除く」と、認知されているが現実に父から扶養を得られない児童まで、手当の支給対象から外れてしまうからである。

5×
鉄砲刀剣類登録規則が、刀剣類の「登録の対象を日本刀に限定したこと」は、法の委任の範囲を逸脱しない(最判平2.2.1)。理由は、日本では愛刀家によって、日本刀を独自の制作方法と様式美を持つ美術品として鑑賞する慣習があり、美術品としての日本刀を所持できるようにするために、本件登録制度が始まったからである。

短答王国行政書士
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