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令和3年 – 問23 – 行政書士 行政法
問題23 普通地方公共団体に適用される法令等に関する次の記述のうち、憲法および地方 自治法の規定に照らし、正しいものはどれか。
1 国会は、当該普通地方公共団体の議会の同意を得なければ、特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定することはできない。
2 普通地方公共団体は、法定受託事務についても条例を制定することができるが、条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする。
3 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができ、条例による委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる。
4 条例の制定は、普通地方公共団体の議会の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議会の議員のみであり、長による提出は認められていない。
5 普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、法定数の連署をもって、当該普通地方公共団体の長に対し、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されている。
正解5〇×
〔3-23〕
解説
1×
「特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定する」には、「その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意」が必要である(憲95条)。本来、国会のみが立法の手続を行い、国会以外の機関は参加できないため、法律の制定に住民投票はいらないのが筋である(国会単独立法の原則)。しかし、国会の議決だけで、特定の地方公共団体に対する法律を制定できると、地方自治権が侵害されるおそれがある。また、いったん法律が成立したら地方議会では廃止できないので、住民の意思を慎重に判断する必要がある。そこで、「その地方公共団体の住民の投票において過半数の同意」が必要とされる。
2×
(広義の)自治事務には(狭義の)自治事務と法定受託事務が含まれる。「普通地方公共団体」は、(広義の)自治事務「に関し、条例を制定」できるため、「法定受託事務についても条例を制定」できる(自治14条1項)。また、「刑罰を規定するには、個別の法律による委任」は必要ない。「個別の法律による委任」が必要だと、個別法の委任を受けな自主条例の実効性を確保できず、行政に支障が生じるおそれがあるからである。また、条例は住民の代表機関である議会が制定するため、実質的に法律に近い。したがって、条例で刑罰を定めるのに、「個別の法律による委任」までは不要である。「刑罰を規定するには」、「法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりる」(最大判昭37.5.30)。
3×
「普通地方公共団体の長」は、「条例による委任」があっても、「規則で刑罰を規定すること」はできない(自治15条)。「規則」とは、長・委員会が制定する地方公共団体の自主法をいう。刑罰は人権に対する影響が大きいので、慎重な手続で制定する必要があるからである。
4×
「条例案」は、「長による提出」も認められる(自治149条1号,96条1項1号)。理由は、地方自治を充実させるには、行政の視点に立つ「長」からの法案提出が必要不可欠だからである。「長」と「議会」は協調して地方自治を形づくるものであり、地方の発展に役立つ提案があれば、双方に発案を認めるべきである。そして、「長による提出」を認めても、議決するのは議会である。地方議会の立法権を侵害するおそれはない。
5〇
本来、「条例の制定又は改廃」は「議会」の権限である。しかし、「地方自治の本旨」には、住民自治が含まれる(憲92条)。住民自治とは、地方公共団体の行政は、住民自らの手で行われなければならないことをいう。そこで、「議員」および「長の選挙権を有する者」に、「法定数の連署をもって」、「条例の制定又は改廃の請求をすること」を認めている(自治74条1項)。しかし、公費の負担にかかわる事項について、「条例の制定又は改廃の請求」を認めると、住民は税金を払いたくないために、請求権を濫用するおそれがある。このような請求により、行政が事務処理に追われて機能不全に陥ることを防ぐ必要がある。そこで、「地方税の賦課徴収等に関する事項」は「条例の制定又は改廃の請求」の対象から除外されている(自治74条1項かっこ書)。
「特定の地方公共団体にのみ適用される法律を制定する」には、「その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意」が必要である(憲95条)。本来、国会のみが立法の手続を行い、国会以外の機関は参加できないため、法律の制定に住民投票はいらないのが筋である(国会単独立法の原則)。しかし、国会の議決だけで、特定の地方公共団体に対する法律を制定できると、地方自治権が侵害されるおそれがある。また、いったん法律が成立したら地方議会では廃止できないので、住民の意思を慎重に判断する必要がある。そこで、「その地方公共団体の住民の投票において過半数の同意」が必要とされる。
2×
(広義の)自治事務には(狭義の)自治事務と法定受託事務が含まれる。「普通地方公共団体」は、(広義の)自治事務「に関し、条例を制定」できるため、「法定受託事務についても条例を制定」できる(自治14条1項)。また、「刑罰を規定するには、個別の法律による委任」は必要ない。「個別の法律による委任」が必要だと、個別法の委任を受けな自主条例の実効性を確保できず、行政に支障が生じるおそれがあるからである。また、条例は住民の代表機関である議会が制定するため、実質的に法律に近い。したがって、条例で刑罰を定めるのに、「個別の法律による委任」までは不要である。「刑罰を規定するには」、「法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりる」(最大判昭37.5.30)。
3×
「普通地方公共団体の長」は、「条例による委任」があっても、「規則で刑罰を規定すること」はできない(自治15条)。「規則」とは、長・委員会が制定する地方公共団体の自主法をいう。刑罰は人権に対する影響が大きいので、慎重な手続で制定する必要があるからである。
4×
「条例案」は、「長による提出」も認められる(自治149条1号,96条1項1号)。理由は、地方自治を充実させるには、行政の視点に立つ「長」からの法案提出が必要不可欠だからである。「長」と「議会」は協調して地方自治を形づくるものであり、地方の発展に役立つ提案があれば、双方に発案を認めるべきである。そして、「長による提出」を認めても、議決するのは議会である。地方議会の立法権を侵害するおそれはない。
5〇
本来、「条例の制定又は改廃」は「議会」の権限である。しかし、「地方自治の本旨」には、住民自治が含まれる(憲92条)。住民自治とは、地方公共団体の行政は、住民自らの手で行われなければならないことをいう。そこで、「議員」および「長の選挙権を有する者」に、「法定数の連署をもって」、「条例の制定又は改廃の請求をすること」を認めている(自治74条1項)。しかし、公費の負担にかかわる事項について、「条例の制定又は改廃の請求」を認めると、住民は税金を払いたくないために、請求権を濫用するおそれがある。このような請求により、行政が事務処理に追われて機能不全に陥ることを防ぐ必要がある。そこで、「地方税の賦課徴収等に関する事項」は「条例の制定又は改廃の請求」の対象から除外されている(自治74条1項かっこ書)。
行政書士試験 令和3年度
- 問3 令和3年 憲法
- 問4 令和3年 憲法
- 問5 令和3年 憲法
- 問6 令和3年 憲法
- 問8 令和3年 行政法
- 問9 令和3年 行政法
- 問10 令和3年 行政法
- 問11 令和3年 行政法
- 問12 令和3年 行政法
- 問13 令和3年 行政法
- 問14 令和3年 行政法
- 問15 令和3年 行政法
- 問16 令和3年 行政法
- 問17 令和3年 行政法
- 問18 令和3年 行政法
- 問19 令和3年 行政法
- 問20 令和3年 行政法
- 問21 令和3年 行政法
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- 問27 令和3年 民法
- 問28 令和3年 民法
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- 問32 令和3年 民法
- 問33 令和3年 民法
- 問34 令和3年 民法
- 問35 令和3年 民法
- 問36 令和3年 商法
- 問37 令和3年 商法
- 問38 令和3年 商法
- 問39 令和3年 商法
- 問40 令和3年 商法
- 問41 令和3年 多肢選択式 憲法
- 問42 令和3年 多肢選択式 行政法
- 問43 令和3年 多肢選択式 行政法