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令和3年 – 問4 – 行政書士 憲法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題 4 捜査とプライバシーに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 個人の容ぼうや姿態は公道上などで誰もが容易に確認できるものであるから、個人の私生活上の自由の一つとして、警察官によって本人の承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を認めることはできない。
2 憲法は、住居、書類および所持品について侵入、捜索および押収を受けることのない権利を定めるが、その保障対象には、住居、書類および所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。
3 電話傍受は、通信の秘密や個人のプライバシーを侵害するが、必要性や緊急性が認められれば、電話傍受以外の方法によって当該犯罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが可能な場合であっても、これを行うことが憲法上広く許容される。
4 速度違反車両の自動撮影を行う装置により運転者本人の容ぼうを写真撮影することは憲法上許容されるが、運転者の近くにいるため除外できないことを理由としてであっても、同乗者の容ぼうまで撮影することは許されない。
5 GPS 端末を秘かに車両に装着する捜査手法は、車両使用者の行動を継続的・網羅的に把握するものであるが、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりする手法と本質的に異ならず、憲法が保障する私的領域を侵害するものではない。

正解2×

〔3-4〕

解説


プライバシー権(憲13条後段)とは、自己に関する情報をコントロールする権利をいう。プライバシー権は、自由権的側面としてみだりな個人情報の収集・保有・利用の制限・禁止を保障し、請求権的側面として収集された情報に対する開示・閲読・訂正・抹消請求権を保障する。したがって、「警察官」が「本人の承諾なしにみだりに容ぼう・姿態を撮影」することは、個人情報のみだらな収集にあたり、許されない (最大判昭44.12.24)。

2○
何人も、「住居、書類および所持品」について、侵入、捜索および押収を受けることのない権利が保障される(憲35条1項)。明文の規定にない「これらに準ずる私的領域」は、保障されないとするのが筋である。しかし、「これらに準ずる私的領域」への侵入を認めると、プライバシーが侵害されるおそれがある。そこで、憲法の「保障対象には、住居、書類および所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる」(最大判平29.3.15)。

3×
通信の秘密(憲21条2項後段)やプライバシー権(憲13条後段)は、憲法で保障される権利であるが、無制約ではなく、「公共の福祉」(憲12条後段)による必要最小限度の制約を受ける。通信傍受以外の方法で、当該犯罪に関する重要かつ必要な証拠を得ることが可能な場合、必要最小限度の制約とはいえないので、通信傍受は許されない(最判平11.12.16)。

4×
プライバシー権(憲13条後段)は、憲法で保障される権利だが、無制約ではなく「公共の福祉」(憲12条後段)による必要最小限度の制約を受ける。「速度違反車両の自動撮影を行う装置」による写真撮影は、被撮影者のプライバシー権を制約するが、必要最小限度の制約であれば、許される。運転者の写真撮影は、「現に犯罪が行われている場合になされ、犯罪の性質、態様からいって緊急に証拠保全をする必要性があり、その方法も一般的に許容される限度を超えない相当なものである」から、必要最小限度の制約として許される。また、「写真撮影の際、運転者の近くにいるため除外できない状況にある同乗者の容ぼうを撮影すること」になるが、他に方法がなくやむを得ない。同乗者の撮影も、必要最小限度の制約として許される (最判昭61.2.14)。

5×
「GPS端末」は、「対象車両の時々刻々の位置情報を検索し、把握す」るものであるが、「その性質上、公道上のもののみならず、個人のプライバシーが強く保護されるべき場所や空間にかかわるものも含めて、対象車両及びその使用者の所在と移動状況を逐一把握する」ことができる。したがって、「GPS端末を秘かに車両に装着する捜査手法」は、「個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うから、個人のプライバシーを侵害しうるものである」。「また、そのような侵害を可能とする」GPS端末を「個人の所持品に秘かに装着する」点で、公道上の捜査手法と根本的に異なり、「公権力による私的領域への侵入を伴うもの」である (最大判平29.3.15)。

短答王国行政書士
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