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令和3年 – 問5 – 行政書士 憲法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題 5 地方公共団体がその土地を神社の敷地として無償で提供することの合憲性に関連して、最高裁判所判決で考慮要素とされたものの例として、妥当でないものはどれか。

1 国または地方公共団体が国公有地を無償で宗教的施設の敷地として提供する行為は、一般に、当該宗教的施設を設置する宗教団体等に対する便宜の供与として、憲法 89 条*との抵触が問題となる行為であるといわなければならない。
2 一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても、同時に歴史的、文化財的な保護の対象となったり、観光資源、国際親善、地域の親睦の場としての意義を有するなど、文化的・社会的な価値に着目して国公有地に設置されている場合もあり得る。
3 日本では、多くの国民に宗教意識の雑居性が認められ、国民の宗教的関心が必ずしも高いとはいえない一方、神社神道には、祭祀儀礼に専念し、他の宗教にみられる積極的な布教・伝道などの対外活動をほとんど行わないという特色がみられる。
4 明治初期以来、一定の社寺領を国等に上知(上地)させ、官有地に編入し、または寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって、国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じており、これが解消されないまま残存している例もある。
5 当該神社を管理する氏子集団が、宗教的行事等を行うことを主たる目的とする宗教団体であり、寄附等を集めて当該神社の祭事を行っている場合、憲法 89 条*の 「宗教上の組織若しくは団体」に該当するものと解される。

(注) * 憲法 89 条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

正解3×

〔3-5〕

解説

1○
「国または地方公共団体が国公有地を無償で宗教的施設の敷地として提供する行為」は、「一般に」、「宗教団体等に対する便宜の供与として、憲法89条との抵触が問題となる行為である」(最大判平22.1.20)。理由は、敷地の提供を受けた宗教団体等は、利用料の免除という経済的利益を得ているからである。

2○
政教分離原則とは、個人の信教の自由を保障するため、国からの特権を受ける宗教を禁止し、国の宗教的中立性を保持する原理をいう。「一般的には宗教施設としての性格を有する施設」は、国の宗教的中立性を守るため、国公有地に設置されないのが筋である。しかし、「歴史的、文化財的な保護の対象となったり、観光資源、国際親善、地域の親睦の場としての意義を有するなど、文化的・社会的な価値」をもつ施設であれば、国公有地に設置されても、「信教の自由の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超え」るものではない。したがって、「一般的には宗教施設としての性格を有する施設であっても」「文化的・社会的な価値に着目して国公有地に設置されている場合もあり得る」(最大判平22.1.20)。

3×
本件のような神道が対外活動を行わないという特色は,考慮要素とされていない。仮に本肢の通りだと宗教と神道は,別ものとなる。しかし,これだと,無償的提供しても89条前段の問題にはならないことになる。判例は,神道も宗教と同様にとらえており,89条の問題とする。したがって,この肢の例は,考慮要素として,妥当でない。

4〇
「明治初期以来、一定の社寺領を国等に上知(上地)させ、官有地に編入し、又は寄附により受け入れるなどの施策が広く採られたこともあって、国公有地が無償で社寺等の敷地として供される事例が多数生じた。このような事例については、戦後、国有地につき「社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律」(昭和22年法律第53号)が公布され、公有地についても同法と同様に譲与等の処分をすべきもの」であるが、「現在に至っても、なおそのような措置を講ずることができないまま社寺等の敷地となっている国公有地が相当数残存している」(最大判平22.1.20)。

5〇
「宗教上の組織もしくは団体」(憲89条前段)とは、特定の信仰を有する者による、当該宗教目的を達成するための組織体をいう。氏子集団は、氏神を信奉する者による、宗教的行事等を行うことを主たる目的として寄附を集め神社の祭事を行う宗教団体である。したがって、宗教上の組織もしくは団体にあたる。

短答王国行政書士
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