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令和3年 – 問13 – 行政書士 行政法
問題13 行政指導についての行政手続法の規定に関する次のア~エの記述のうち、正しい ものの組合せはどれか。
ア 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないとされているが、その定めが適用されるのは当該行政指導の根拠規定が法律に置かれているものに限られる。
イ 行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければならず、当該行政指導が口頭でされた場合において、これら各事項を記載した書面の交付をその相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
ウ 行政指導をすることを求める申出が、当該行政指導をする権限を有する行政機関に対して適法になされたものであったとしても、当該行政機関は、当該申出に対して諾否の応答をすべきものとされているわけではない。
エ 地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる規定が法律に置かれているものであれば、行政指導について定める行政手続法の規定は適用される。
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
正解3〇×
〔3-13〕
解説
ア×
行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(行手2条6号)。行政指導は、相手方の任意・合意を前提として行政目的を達成する事実行為である。したがって、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」(行手32条2項)。これは行政指導の基本的な原則であり、根拠規定が法律であっても変わらない。よって、「その定めが適用されるのは当該行政指導の根拠規定が法律に置かれているものに限られ」ない。
イ〇
「行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければなら」ない(行手35条2項)。理由は、行政機関が行政指導の相手方に不当な圧力をかけないようにするためである。そして、「行政指導が口頭でされた場合において」、相手方から「書面の交付」を求められたときは、「行政上特別の支障がない限り」、「交付しなければならない」(行手35条3項)。理由は、書面交付を義務化することで行政指導の濫用を防止し、かつ事実を証拠化することで相手方の救済を容易にするためである。
ウ○
「行政指導をすることを求める申出」(行手36条の3第1項)があっても、行政機関は「諾否の応答をすべきものとされているわけではない」。理由は、行政指導を求める申出は、「何人」でも、「行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれている者に限る。)がされていない」と思った場合にできるため、行政機関に応答義務を課してしまうと事務処理が困難となり、行政運営に支障が出るおそれがあるからである。なお、応答義務はないが、行政機関は、行政指導の申出があったとき「必要な調査を行い」、「必要があると認めるときは」、「行政指導をしなければならない」(行手36条の3第3項)ため、申出を無視することにはならない。
エ×
「地方公共団体の機関がする行政指導については」、根拠規定が法律に置かれていても「行政手続法の規定は適用」しない(行手3条3項)。理由は、行政指導は事実行為であるため、地方の実情に応じた柔軟な運用が適切だからである。なお、そうだとしても、地方公共団体は、「行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」(行手46条)。そこで、各地方公共団体は、行政手続条例を定めて、行政指導を規律している。
行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(行手2条6号)。行政指導は、相手方の任意・合意を前提として行政目的を達成する事実行為である。したがって、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」(行手32条2項)。これは行政指導の基本的な原則であり、根拠規定が法律であっても変わらない。よって、「その定めが適用されるのは当該行政指導の根拠規定が法律に置かれているものに限られ」ない。
イ〇
「行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければなら」ない(行手35条2項)。理由は、行政機関が行政指導の相手方に不当な圧力をかけないようにするためである。そして、「行政指導が口頭でされた場合において」、相手方から「書面の交付」を求められたときは、「行政上特別の支障がない限り」、「交付しなければならない」(行手35条3項)。理由は、書面交付を義務化することで行政指導の濫用を防止し、かつ事実を証拠化することで相手方の救済を容易にするためである。
ウ○
「行政指導をすることを求める申出」(行手36条の3第1項)があっても、行政機関は「諾否の応答をすべきものとされているわけではない」。理由は、行政指導を求める申出は、「何人」でも、「行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれている者に限る。)がされていない」と思った場合にできるため、行政機関に応答義務を課してしまうと事務処理が困難となり、行政運営に支障が出るおそれがあるからである。なお、応答義務はないが、行政機関は、行政指導の申出があったとき「必要な調査を行い」、「必要があると認めるときは」、「行政指導をしなければならない」(行手36条の3第3項)ため、申出を無視することにはならない。
エ×
「地方公共団体の機関がする行政指導については」、根拠規定が法律に置かれていても「行政手続法の規定は適用」しない(行手3条3項)。理由は、行政指導は事実行為であるため、地方の実情に応じた柔軟な運用が適切だからである。なお、そうだとしても、地方公共団体は、「行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」(行手46条)。そこで、各地方公共団体は、行政手続条例を定めて、行政指導を規律している。
行政書士試験 令和3年度
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