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令和3年 – 問21 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題21 規制権限の不行使(不作為)を理由とする国家賠償請求に関する次のア~エの記 述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 石綿製品の製造等を行う工場または作業場の労働者が石綿の粉じんにばく露したことにつき、一定の時点以降、労働大臣(当時)が労働基準法に基づく省令制定権限を行使して罰則をもって上記の工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったことは、国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法である。
イ 鉱山労働者が石炭等の粉じんを吸い込んでじん肺による健康被害を受けたことにつき、一定の時点以降、通商産業大臣(当時)が鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったことは、国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法である。
ウ 宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたことにつき、免許権者である知事が事前に更新を拒否しなかったことは、当該被害者との関係において国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法である。
エ いわゆる水俣病による健康被害につき、一定の時点以降、健康被害の拡大防止のために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったことは、国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法とはならない。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

正解1×

〔3-21〕

解説

ア〇
国家賠償法上の違法とは、職務上尽くすべき注意義務を怠ることをいう(職務行為基準説)。一般に、行政は、規制権限の行使について裁量があり、不作為でも直ちに違法とはいえない。そこで、規制権限の不行使は、具体的事情の下で、「著しく合理性に欠ける」とき、被害者との関係で違法とする(最判平26.10.9)。本件、石綿の粉じんは、労働者に深刻な健康被害を発生させる。ゆえに、労働大臣は、労働者の生命・身体を守るため、規制権限を行使する必要があった。そして、当時の技術的知見では、工場等に局所排気装置を設置するのが合理的であった。よって、本件の事情の下では、「労働大臣」が、「工場等に局所排気装置を設置することを義務付けなかったこと」は、「著しく合理性に欠ける」ため、「国家賠償法1条1項の適用上違法」となる。

イ〇
本件では、「炭鉱労働者が石炭等の粉じんを吸い込」むことにより、深刻な健康被害が発生している。ゆえに、「通商産業大臣」は、労働者の生命・身体を守るため、規制権限を行使する必要があった。よって、「通商産業大臣」が「鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったことは」、「著しく合理性に欠ける」ため、「国家賠償法1条1項の適用上違法」となる(最判平16.4.27)。

ウ×
本件では、「免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせ」ている。しかし、「知事」は、「免許」で「業者の人格・資質等を一般的に保証」するわけではない。ゆえに、「知事」は「業者が不正行為」をしたとしても、「更新を拒否」する必要はない。また、被害者の救済は、業者に対して不法行為に対する損害賠償を請求すれば足りる。よって、「免許権者である知事が事前に更新を拒否しなかった」としても、「著しく合理性に欠ける」とはいえず、「国家賠償法1条1項の適用上違法」とならない(最判平元.11.24)。

エ×
本件では、「水俣病」により、深刻な「健康被害」が発生している。ゆえに、「国」は、「健康被害の拡大防止のために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限」を行使する必要があった。よって、「国」が「健康被害の拡大防止のために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったことは」、「著しく合理性に欠ける」ため、「国家賠償法1条1項の適用上違法」となる(最判平16.10.15)。

短答王国行政書士
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