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令和3年 – 問17 – 行政書士 行政法
問題17 次に掲げる行政事件訴訟法の条文の空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
第 25 条第 2 項 処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執
行又は手続の続行により生ずる[ ア ]を避けるため緊急の必要があるときは、裁判
所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)
第 36 条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により[ イ ]を受けるお
それのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする[ ウ ]に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。
第 37 条の2第1項 第 3 条第6 項第1 号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより[ エ ]を生ずるおそれがあり、かつ、その[ オ ]を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
ア | イ | ウ | エ | オ | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 重大な損害 | 重大な損害 | 私法上の法律関係 | 損害 | 拡大 |
2 | 償うことのできない損害 | 重大な損害 | 現在の法律関係 | 重大な損害 | 損害 |
3 | 重大な損害 | 損害 | 現在の法律関係 | 重大な損害 | 損害 |
4 | 償うことのできない損害 | 損害 | 私法上の法律関係 | 損害 | 拡大 |
5 | 重大な損害 | 償うことのできない損害 | 公法上の法律関係 | 重大な損害 | 拡大 |
正解3〇×
〔3-17〕
解説
【完成文】
第25条2項 処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる[ア.重大な損害]を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)
第36条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により[イ.損害]を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする[ウ.現在の法律関係]に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。
第37条の2第1項 第3条第6項第1号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより[エ.重大な損害]を生ずるおそれがあり、かつ、その[オ.損害]を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
ア
アは、「重大な損害」が入る。行政訴訟法25条2項は、執行停止について定めた規定である。要件は、①本案訴訟が係属していること②重大な損害を避けるため緊急の必要があることである。ただし、①②を満たす場合でも、③公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、または④本案について理由がないとみえるときは認められない(行訴25条4項)。執行停止は、行政庁が権限に基づいて行った行為を裁判所が停止するものであるから、「損害」は重くなければならない。しかし、「償うことのできない損害」であることまで必要とすると、実際上ほとんど認められなくなってしまう。行政庁が違法な処分をしていても、基本的に使えないのでは、救済制度として問題である。よって、より緩やかな要件である「重大な損害」が正解となる。
イ
イには、「損害」が入る。行政訴訟法36条は、「無効等確認の訴え」について定めた規定である。「無効等確認の訴え」は、後行処分により損害を受けるおそれのある者が、先行処分の無効を確認することで後行処分による不利益を未然に防止する予防訴訟としての性質を持つ。すると、行政庁がこれから行う処分の効力を裁判所が否定するように見えるから、「損害」は重大でなければならないとも思える。しかし、「重大な損害」を受けるおそれまで必要とすると、訴えを提起することが難しくなる。行政側に大きな瑕疵があるにもかかわらず、被害者が「重大な損害」を受けなければ訴えの提起すらできないというのは、不条理である。また、「損害」を受けるおそれを要求すれば、濫訴は防止できる。よって、「損害」が正解となる。 ウ
ウには、「現在の法律関係」が入る。「現在の法律関係に関する訴え」とは、当事者訴訟(公法上の法律関係訴訟)や民事訴訟(私法上の法律関係訴訟)を指す。無効な処分は、取消訴訟によらなくても効力を否定できる。紛争解決のためには、当事者訴訟や民事訴訟を提起して、その中で処分の無効を主張するのが最も実効性があり、無効等確認の訴えを提起するのは迂遠である。そこで、「無効等確認の訴え」は、「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達成することができないものに限り、提起することができる」。よって、「現在の法律関係」が正解となる。 エ
エには、「重大な損害」が入る。(直接型ないし)非申請型義務付け訴訟とは、行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう(行訴3条6項1号)。非申請型義務付け訴訟は、国民が行政の判断に介入するので、国民の濫訴を防止する必要がある。したがって、厳しい要件の「重大な損害」を生ずるおそれを必要とする。よって、「重大な損害」が正解となる。
オ
オには、「損害」が入る。非申請型義務付け訴訟は、国民が行政の判断に介入するので、行政への負担が大きい。そこで、他に救済手段が法定されているような場合、そちらの手段を使うべきである。したがって、「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる」。「拡大」を避けるためでは、他の救済手段が法定されていても、非申請型義務付け訴訟を提起できてしまうので不十分である。よって、「損害」が正解となる。
第25条2項 処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる[ア.重大な損害]を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)
第36条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により[イ.損害]を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする[ウ.現在の法律関係]に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。
第37条の2第1項 第3条第6項第1号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより[エ.重大な損害]を生ずるおそれがあり、かつ、その[オ.損害]を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
ア
アは、「重大な損害」が入る。行政訴訟法25条2項は、執行停止について定めた規定である。要件は、①本案訴訟が係属していること②重大な損害を避けるため緊急の必要があることである。ただし、①②を満たす場合でも、③公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、または④本案について理由がないとみえるときは認められない(行訴25条4項)。執行停止は、行政庁が権限に基づいて行った行為を裁判所が停止するものであるから、「損害」は重くなければならない。しかし、「償うことのできない損害」であることまで必要とすると、実際上ほとんど認められなくなってしまう。行政庁が違法な処分をしていても、基本的に使えないのでは、救済制度として問題である。よって、より緩やかな要件である「重大な損害」が正解となる。
イ
イには、「損害」が入る。行政訴訟法36条は、「無効等確認の訴え」について定めた規定である。「無効等確認の訴え」は、後行処分により損害を受けるおそれのある者が、先行処分の無効を確認することで後行処分による不利益を未然に防止する予防訴訟としての性質を持つ。すると、行政庁がこれから行う処分の効力を裁判所が否定するように見えるから、「損害」は重大でなければならないとも思える。しかし、「重大な損害」を受けるおそれまで必要とすると、訴えを提起することが難しくなる。行政側に大きな瑕疵があるにもかかわらず、被害者が「重大な損害」を受けなければ訴えの提起すらできないというのは、不条理である。また、「損害」を受けるおそれを要求すれば、濫訴は防止できる。よって、「損害」が正解となる。 ウ
ウには、「現在の法律関係」が入る。「現在の法律関係に関する訴え」とは、当事者訴訟(公法上の法律関係訴訟)や民事訴訟(私法上の法律関係訴訟)を指す。無効な処分は、取消訴訟によらなくても効力を否定できる。紛争解決のためには、当事者訴訟や民事訴訟を提起して、その中で処分の無効を主張するのが最も実効性があり、無効等確認の訴えを提起するのは迂遠である。そこで、「無効等確認の訴え」は、「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達成することができないものに限り、提起することができる」。よって、「現在の法律関係」が正解となる。 エ
エには、「重大な損害」が入る。(直接型ないし)非申請型義務付け訴訟とは、行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう(行訴3条6項1号)。非申請型義務付け訴訟は、国民が行政の判断に介入するので、国民の濫訴を防止する必要がある。したがって、厳しい要件の「重大な損害」を生ずるおそれを必要とする。よって、「重大な損害」が正解となる。
オ
オには、「損害」が入る。非申請型義務付け訴訟は、国民が行政の判断に介入するので、行政への負担が大きい。そこで、他に救済手段が法定されているような場合、そちらの手段を使うべきである。したがって、「その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる」。「拡大」を避けるためでは、他の救済手段が法定されていても、非申請型義務付け訴訟を提起できてしまうので不十分である。よって、「損害」が正解となる。
行政書士試験 令和3年度
- 問3 令和3年 憲法
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- 問38 令和3年 商法
- 問39 令和3年 商法
- 問40 令和3年 商法
- 問41 令和3年 多肢選択式 憲法
- 問42 令和3年 多肢選択式 行政法
- 問43 令和3年 多肢選択式 行政法