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令和3年 – 問25 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題25 墓地埋葬法* 13 条は、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。」と定めているところ、同条の「正当の理由」について、厚生省(当時)の担当者が、従来の通達を変更し、依頼者が他の宗教団体の信者であることのみを理由として埋葬を拒否することは「正当の理由」によるものとは認められないという通達(以下「本件通達」という。)を発した。本件通達は、当時の制度の下で、主務大臣がその権限に基づき所掌事務について、知事をも含めた関係行政機関に対し、その職務権限の行使を指揮したものであるが、この通達の取消しを求める訴えに関する最高裁判所判決(最三小判昭和 43 年 12 月 24 日民集 22 巻 13 号 3147 頁)の内容として、妥当なものはどれか。

1 通達は、原則として、法規の性質をもつものであり、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであって、本件通達もこれに該当する。
2 通達は、関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令であるが、その内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、法規の性質を有することとなり、本件通達の場合もこれに該当する。
3 行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではなく、その点では本件通達の場合も同様である。
4 本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するものであり、下級行政機関は当該通達に反する行為をすることはできないから、本件通達は、これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すものである。
5 取消訴訟の対象となりうるものは、国民の権利義務、法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等でなければならないのであるから、本件通達の取消しを求める訴えは許されないものとして棄却されるべきものである。

(注) * 墓地、埋葬等に関する法律

正解3×

〔3-25〕

解説

1×
「通達」とは、行政の一体性を保持するための命令を文書化したものをいい、行政規則の一種である。よって、「原則として、法規の性質をもつもの」ではない(最判昭43.12.24)。

2×
通達の「内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりを持つようなものである場合」でも、「法規の性質を有する」ことはない(最判昭43.12.24)。理由は、「通達は行政組織内部における命令にすぎない」ため、行政機関や職員を拘束するだけで、一般国民の権利義務に直接影響しないからである。

3〇
「行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右される」ことはない(最判昭43.12.24)。理由は、通達は、行政機関内部に対する命令なので、通達違反があっても内部の問題にすぎず、一般国民の権利義務に直接影響しないからである。

4×
「本件通達は従来とられていた法律の解釈や取扱いを変更するもの」であるが、「これを直接の根拠として墓地の経営者に対し新たに埋葬の受忍義務を課すもの」ではない(最判昭43.12.24)。理由は、「通達は行政組織内部における命令にすぎない」ため、行政機関や職員を拘束するだけで、一般国民の権利義務に直接影響しないからである。通達は、新たに国民の権利義務を形成するものではない。

5×
「本件通達の取消しを求める訴えは許されない」ので、「却下」されるべきである(最判昭43.12.24)。「棄却」とは、当事者の主張の内容を判断し、訴えを理由がないとして退けることをいう。「却下」とは、内容判断に踏み込まず、訴えを不適法として退けることをいう。本件通達は、「取消訴訟の対象」ではない。よって、内容判断に入るまでもなく、訴えは不適法であるから、「却下」される。

短答王国行政書士
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