ようこそ、 さん

ご登録いただくと、続きから問題を
再開する事が出来ます

登録いただいたデータを基に、受験生にベストな過去問集の作成や、より正確に知りたいポイントの解説を、お届けできるようになります。
ニックネーム
性別
地域
年代
受験回数
試験

令和3年 – 問29 – 行政書士 民法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題29 物権的請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当で ないものはどれか。

1 A所有の甲土地上に権原なくB所有の登記済みの乙建物が存在し、Bが乙建物を Cに譲渡した後も建物登記をB名義のままとしていた場合において、その登記がBの意思に基づいてされていたときは、Bは、Aに対して乙建物の収去および甲土地の明渡しの義務を免れない。
2 D所有の丙土地上に権原なくE所有の未登記の丁建物が存在し、Eが丁建物を未登記のままFに譲渡した場合、Eは、Dに対して丁建物の収去および丙土地の明渡しの義務を負わない。
3 工場抵当法により工場に属する建物とともに抵当権の目的とされた動産が、抵当権者に無断で同建物から搬出された場合には、第三者が即時取得しない限り、抵当権者は、目的動産をもとの備付場所である工場に戻すことを請求することができる。
4 抵当権設定登記後に設定者が抵当不動産を他人に賃貸した場合において、その賃借権の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、賃借人の占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、賃借人に対して、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる。
5 動産売買につき売買代金を担保するために所有権留保がされた場合において、当該動産が第三者の土地上に存在してその土地所有権を侵害しているときは、留保所有権者は、被担保債権の弁済期到来の前後を問わず、所有者として当該動産を撤去する義務を免れない。

正解5×

〔3-29〕

解説

1○
原則として所有者は,建物を収去する権限を持つ。BはCに乙建物を譲渡し,所有者ではない。そこで,AはBに対し建物収去・甲土地の明渡しを求めることができないと思える。しかし,登記制度の趣旨は,公示して物権を保全した者を保護し,不動産取引の安全を図る点にある。BはCに登記の移転を行わず,保護の必要はない。したがって,AはBに対し乙建物の収去・甲土地の明渡しを求めることができる。よって,肢は正しい。
<条文> -
<判例> 最判平6.2.8

2○
土地所有者は,土地に対する所有権を実現するため,土地上に建物を建てて権利を妨害する者に対し建物収去土地明渡を請求できる。EはFに丁建物の所有権を譲渡したため,丁建物の所有者ではない。したがって,DはFに対し丁建物の収去及び丙土地の明渡しを請求すべきで,Eに対し請求できない。よって,肢は正しい。
<条文> -
<判例> 最判昭35.6.17

3○
抵当権は,目的物の交換価値を把握する権利である。抵当目的物の動産が建物から搬出されると,目的物の交換価値が低下し,抵当権者の利益が害される。そのため,抵当権者は目的物に対する妨害排除を請求でき,目的物を元の備付場所である工場に戻すことを請求できる。よって,肢は正しい。
<条文> -
<判例> 最判昭57.3.12

4○
抵当権は目的物の交換価値を把握する権利である。目的物を占有する権原はない。そのため,抵当権者は原則として,目的物を適法に占有する者に対し妨害排除請求できない。しかし,占有権原の設定に抵当権実行の手段である競売手続を妨害する目的があり,抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて優先弁済権の行使が困難となる場合は抵当権者を保護する必要がある。したがって,抵当権者は,占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求権を行使できる。よって,肢は正しい。
<条文> -
<判例> 最判平17.3.10

5×
所有権留保は,目的物の所有権を債権者に留保し,目的物の交換価値を把握する権利である。債権者は,残債務の弁済期が到来するまで目的物を処分できず,交換価値を把握するにとどまる。残債務の弁済期を経過した後は,目的物を占有し処分できる。そのため,留保所有権者は,被担保債権の弁済期が到来するまでは目的物を撤去する義務を負わないが,弁済期が到来した後は目的物を撤去する義務を負う。よって,肢は誤り。
<条文> -
<判例> 最判平21.3.10

短答王国行政書士
株式会社スクール東京
〒160-0008
東京都新宿区四谷三栄町11番11号 サンライズビル2階
03-6457-8691
https://schooltokyo.jp/