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令和2年 – 問9 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題 9 行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 処分に重大かつ明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合において、当該瑕疵が明白であるかどうかは、当該処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべきである。
2 行政庁の処分の効力の発生時期については、特別の規定のない限り、その意思表示が相手方に到達した時ではなく、それが行政庁から相手方に向けて発信された時と解するのが相当である。
3 課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。
4 相手方に利益を付与する処分の撤回は、撤回の対象となる当該処分について法令上の根拠規定が定められていたとしても、撤回それ自体について別途、法令上の根拠規定が定められていなければ、適法にすることはできない。
5 旧自作農創設特別措置法に基づく農地買収計画の決定に対してなされた訴願を認容する裁決は、これを実質的に見れば、その本質は法律上の争訟を裁判するものであるが、それが処分である以上、他の一般的な処分と同様、裁決庁自らの判断で取り消すことを妨げない。

正解1×

〔2-9〕

解説

1○
違法な瑕疵ある行政行為には、無効の瑕疵ある行政行為と取り消すべき瑕疵ある行政行為とが存在 する。このうち、無効の行政行為とは、行政行為に内在する瑕疵が①重要な法規違反であること、 ②瑕疵の存在が明白であることをいう(通説・判例〈最判昭36.3.7〉)。したがって、「処分に重大 か明白な瑕疵があり、それが当然に無効とされる場合には」、その判断は、誰が見ても、「外見上、 客観的に誤認が一見看取し(見て分かる)得るものであるかどうかにより決すべきである」。

2×
「(行政庁の処分の効力の発生時期は、)その通知が相手方に到達した時」に、その効力を生ずる(最判昭29.8.24)。理由は、処分を受ける国民の利益を考えるなら、効力の発生時期は、特別の規定のない限り、意思表示の一般原則(民97条1項)(意思表示は、到達しないと相手は知りえないから到達時に発生)に従うべきだからである。

3×
「当該瑕疵に明白性が認められ」なくとも、例外的に処分は無効とすべきである(最判昭48.4.26)。理由は、「課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹に関わる重大なものである」場合には、処分を受ける国民の利益保護から無効とする必要性が高い。無効と解しても、課税処分については、住民が、無効を主張する相手方は行政である。取引安全を保護する必要はないからである。

4×
国民に利益を付与する処分(受益的処分)の撤回については、利益付与が将来的になくなるだけで、「法令上の根拠規定」は不要である(最判昭63.6.17)。理由は、処分に、法律上の根拠規定を要するのは、国民への権利・利益の侵害(不利益処分)に対する手続保障(憲31条)の考えに基づくからである。利益を付与する処分の撤回は、国民への権利・利益の侵害は生じない。 

5×
裁決庁(行政庁)が、いったん裁決をした以上、「自ら改めてその裁決を取り消すこと」はできない(最判昭29.1.21)。まず、農地買収計画の決定に対する請願を認容する裁決は、実質的には国民の権利・利益に関する具体的な争いに対し、法を適用し宣言する判断である。その本質は「法律上の争訟」に当たる。裁決の撤回を認めると法的安定性が害されるからである。

短答王国行政書士
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