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令和2年 – 問21 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題21 国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものは どれか。

1 宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても、直ちに国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法の評価を受ける。
2 建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、それに関する事務が行政庁の監督下において行われているものではないため、国家賠償法1条1 項の「公権力の行使」に当たらない。
3 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健康被害補償法*に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定処分を受けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法の評価を受ける。
4 裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償法1条1 項の適用上違法の評価を受けることはない。
5 検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのこ とから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法 1 条 1項の適用上違法の評価を受けるということにはならない。

(注) * 公害健康被害の補償等に関する法律

正解5×

〔2-21〕

解説

1×
国家賠償法は、憲法17条に基づき国家権力の違法な行使に対して、国民に対する国家の賠償責任を認めたことから設けられた法律である。「不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使」が被害者との関係で国家賠償法1条1項の「違法」といえるかどうかは、具体的事情の下において行政庁の監督権限の不行使が、「監督権限の不当な行使」と同視できるかどうかで判断すべきである。したがって、「行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける」ものではない(最判平元.11.24)。

2×
指定確認検査機関による建築確認も地方公共団体が行う事務として、「公権力の行使」に当たる。理由は、建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関の当該確認(建基6条の2第1項)は、たとえ、建築確認(一定の建築物の建築計画について、法令に適合するものであることを確認する行為)自体が、民間の検査機関で行われたとしても、「(建築物の安全性に)関する事務が行政庁の監督下におかれて行われる」。そのため、「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」による「行政行為」に該当するからである(行訴21条1項)(最判平17.6.24)。

3×
水俣病患者認定申請を受けた処分庁は、手続きに必要とされる相当期間内に応答処分すべき条理上の作為義務を負う。しかし、それだけで「直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける」わけではない。理由は、「相当の期間内に応答がなかったという事情」だけでは、膨大な認定申請を受ける処分庁に、不可能なことを強いることになる。かえって、公務そのものに影響をきたすからだ。客観的に処分庁が手続き上必要とされその期間に比してさらに長期間にわたり遅延が続き、かつ、その間、処分庁として通常期待される努力により遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかったことが必要である(最判平3.4.26)。

4×
裁判官の行う争訟については、「その裁判の内容に・・・瑕疵が存在」したとしても上訴などの訴訟上 の救済方法がある。通常は、国の損害賠償責任が肯定されることはない。しかし、「裁判官が付与された 権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認めうるような特別の事情」がある場合には、国家権力 の行使に際して、違法な行為をしたというべきである(最判昭57.3.12)。「国家賠償法1条1項の適 用上違法の評価を受ける」。

5○
検察官が控訴を提起した裁判において、公訴提起とは、検察官が犯罪の成否、刑罰権の存否につき、裁判所に対して審判を求める意思表示である。判決時における裁判官の心証とは異なり、検察官の公訴提起時の心証は、有罪の嫌疑があったことで足りる。無罪の判決が確定したとしても、(裁判官の)判決は検察官による公訴提起および追行時における適正な証拠資料を総合的に勘案して、その結果、裁判官の合理的な判断により下されたものである。したがって、無罪判決の確定より、「そのことから直ちに、(検察官の)起訴前の逮捕や拘留とその後の公訴提起などが国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受ける」べきではない(最判平2.7.20)。

短答王国行政書士
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