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令和2年 – 問33 – 行政書士 民法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題33 A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、 「本件賃貸借契約」という。)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1 本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。
2 乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。
3 Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。
4 本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。
5 本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

正解2×

〔2-33〕

解説

1○
まず、賃貸借の目的物が、賃貸人から第三者に譲渡されても、所有権と賃貸人の地位は、本来別の財産権なので、賃貸人の地位は当然に移転しない。しかし、移転しないと、賃借人は目的物に占有権原を失い、明け渡さないといけない。また、賃借権が対抗要件を備えれば、目的物の譲受人にも賃借権を対抗できる。したがって、目的物の所有権の移転に伴い、賃貸人の地位は当然に移転する。
次に、賃貸人の交代は、目的物を使用収益させる債務に関し、免責的債務引受といえる。そこで、債権者である賃借人の承諾が必要ではないか。しかし、賃借人の承諾を要すると、建物所有権の処分の自由が制限される。また、賃貸人の債務は、目的物の所有者なら誰でも履行できる没個性的な債務である。よって、Bの承諾がなくても、賃貸人の地位はAからCに移転する。
<条文> 605条の2・1項、借地借家法10条
<判例> -

2×
土地の賃借人は、賃借権の登記がなくても、土地上に登記された建物を所有すれば、第三者に対抗できる。借地権者の保護を図るためである。ところで、建物の登記は、借地人の近親者である妻名義でもよいとも思える。しかし、他人名義で登記したに過ぎない者は、保護に値しない。また、登記をめぐる法律関係が不明確となるおそれがある。本肢でも、乙建物の所有権保存登記がD名義なら、BはCに対し、甲土地の賃借権を対抗できない。よって、肢は誤り。
<条文> 借地借家法10条1項
<判例> 最大判昭41.4.27

3○
賃貸人の地位を譲り受けた者が賃借人に賃料を請求する場合、目的物の所有権と賃借権は両立関係なので、物権の得喪を争う関係になく、目的物の所有権につき対抗要件は不要とも思える。しかし、賃借人が賃料の二重払いのおそれがあるので、譲受人が確定的な権利者となることが必要である。したがって、Cは、甲土地の所有権移転登記を備えなければ、Bに賃料の請求できない。よって、肢は正しい。
<条文> 605条の2・3項
<判例> -

4○
賃借人が目的建物の保存のために必要な費用を支出した場合、賃借人は、賃貸借契約の終了を待つことなく、必要費を直ちに請求できる。賃貸人が本来負担すべき義務に関する費用だからである。よって、肢は正しい。
<条文> 608条1項
<判例> -

5○
賃貸人の地位が移転した場合、新賃貸人に敷金関係が承継されるかについて、賃貸借契約と敷金契約は別だから、賃貸人の地位の移転があっても、敷金関係は原則として承継されない。しかし、旧賃貸人が、賃借人に返還義務を履行しないおそれがある。また、賃借人は新賃貸人に敷金を交付し直す必要があり、手続が煩雑である。さらに、旧賃貸人と新賃貸人との間で、敷金返還債務の負担分を、不動産の代価に反映し、調整できる。したがって、敷金関係は承継される。なお、賃借人は、敷金関係の当事者が変わり不当と思える。しかし、新賃貸人には、責任財産として目的不動産があり、将来発生する敷金返還債務の履行を確保できる。また、賃貸人の地位は、賃借人の承諾なくして移るため、担保の移転も予定され、不都合はない。
次に、旧賃貸人の意思表示なく、敷金は未払い賃料に当然に充当されるか。敷金は、賃貸借契約により生じる一切の賃借人の債務を担保するが、担保権は担保権者の実行の意思表示がなければ、原則として債務に充当されない。しかし、敷金関係が新賃貸人に移る結果、未払賃料が無担保になり、旧賃貸人の保護に欠ける。旧賃貸人の合理的意思は、賃貸借契約から離脱した時点で、債務を精算する意思である。他方、新賃貸人にとり、承継できる敷金が減少するが、賃借人から新たに敷金を徴収できる。また、不動産を譲り受ける時点で、旧賃貸人が未払賃料を精算すると予測でき、不都合はない。したがって、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに敷金の返還を求めることができる。よって、肢は正しい。
<条文> 605条の2・4項
<判例> -

短答王国行政書士
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