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令和2年 – 問4 – 行政書士 憲法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題 4 表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

1 表現の内容規制とは、ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制であり、政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止などがその例である。
2 表現の内容を理由とした規制であっても、高い価値の表現でないことを理由に通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされる場合があり、営利を目的とした表現や、人種的憎悪をあおる表現などがその例である。
3 表現内容中立規制とは、表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制であり、学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などがその例である。
4 表現行為を事前に規制することは原則として許されないとされ、検閲は判例によれば絶対的に禁じられるが、裁判所による表現行為の事前差し止めは厳格な要件のもとで許容される場合がある。
5 表現行為の規制には明確性が求められるため、表現行為を規制する刑罰法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には、そうした文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない。

正解5×

〔2-4〕

解説

1○
「表現(の自由〈憲21条1項〉)の内容規制」とは、公権力が、国民の伝達する表現内容(メッセージ)を制限する規制をいう。その目的は、公権力に不利益な内容の表現の制限である。「ある表現が伝達しようとするメッセージを理由とした規制」をすることは、公権力に不利益な内容の表現の制限に、該当する。具体的には、「政府の転覆を煽動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止」等がある。

2○
表現の自由(憲21条1項)は、人が思想・情報を外部に伝達し、発表する自由をいう。その目的は、自己実現と自己統治のためである。しかし、「表現の内容を理由とした規制であっても」「営利を目的とした表現や、人種憎悪をあおる表現」等は、表現内容として、自己統治に関係する「高い価値の表現で」はない。保護の必要性は低い。そのため、その表現に対する規制は「通常の内容規制よりも穏やかに審査され、規制が許されるべき」である。

3○
「表現内容中立規制」とは、公権力が、国民の伝達する発言内容(メッセージ)や伝達効果に関係なく、表現の自由(憲21条1項)を制限する規制をいう。内容規制と区別して、合憲性判断を適切に行うための分類である。学校近くでの騒音の制限、一定の選挙運動の制限などは、その目的を「発言内容や伝達効果に関係なく」地域の騒音防止等による平穏維持(マイナスを防止〈価値中立的〉)とする。「表現内容中立規制」に該当する。

4○
表現の自由(憲21条1項)を保証するため、「表現行為を事前に規制することは原則として許されな い」「検閲は判例によれば、絶対的に禁じられる」(憲21条1項)。ただし、表現の自由も無制約では ない。個人の名誉やプライバシーが侵害されるおそれがある場合には、例外的に裁判所による事前差し 止めが「厳格な要件のもとで許容される場合がある」。この場合、裁判所による事前差し止めは、憲法 の絶対的に禁止する「検閲」には当たらない。理由は、「検閲」とは、歴史的な言論弾圧の経緯から主 体は行政である。しかし、裁判所は人権保障の砦としての法原理機関で、公正・中立が確保されている。 その上に、事前差し止めにあたっては、行政とは異なり厳格な手続き要件が取られているからである(最 判昭和61.6.11)。

5×
「表現行為の規制には明確性が求められる」ことを、「明確性の原則」という。表現の自由(憲21条1項)を規制するどのような行為が、法律により制限・禁止されているかを、国民に知らせるとともに、行政の恣意的な権力行使に明確な枠をはめ、制限する役割を有する。しかし、「表現行為を規制する法規の法文が漠然不明確であったり、過度に広汎であったりする場合には」、当該法規は違憲となるだけなのか。「そうした(法規の)文言の射程を限定的に解釈し合憲とすることは、判例によれば許されない」のであろうか。判例は、例外的に「限定的に解釈し合憲とすること」が許されるとする(最判平19.9.18)。理由は、法令を違憲にしてしまうと,立法目的が全て達成されないことになってしまう。したがって,裁判所としては,できる限り合憲になるように解釈して,立法目的の実現が図れるように協力すべきだからである。 なお,合憲限定解釈の具体例として,広島市暴走族追放条例(最判平19.9。18)などがある。
短答王国行政書士
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