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令和2年 – 問25 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題25  情報公開をめぐる最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、妥当なものはどれ か。

1 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。
2 行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。
3 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
4 条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのこと により直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法であるとの評価を受ける。
5 条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

(注) * 行政機関の保有する情報の公開に関する法律

正解1×

〔2-25〕

解説

1○
条例に基づく公文書非公開決定において、非公開の理由提示の機能は、不開示処分における行政庁の恣意性の排除と理由提示に伴う慎重な考慮を担保するためにある。この理由提示の機能を重視するなら、「条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において」、別の理由の主張を認めることは望ましいことではない。しかし、認められないとすると、別訴が提起されることになり、紛争の一回的解決が図れなくなる。行政の停滞も生じることになる。そこで、「公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法である事の理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される」(最判平11.11.19)。原告にとっても、別訴提起を要せずに、紛争の早期解決が図られ、不当ではない。

2×
取消訴訟において、訴訟要件に係る事項の立証責任は、民事訴訟法に従い原告(住民)が負う(行訴法7条)。「行政機関情報公開法に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において」は、その取消を求める者が、当該不開示決定当時に行政機関が当該行政文書を保有していたことについて立証責任を負うことになる(最判平26.7.14)。したがって、「当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告(行政機関)が負う」は、誤りである。

3×
条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証(文書の記載内容を証拠資料とするかどうか、裁判官が閲読する方法で行われる取調べ方法)として提出されたとしても、文書が公開されたわけではない。原告には公開を請求して、所定の手続きにより請求に係る公文書を閲覧し、または写しの交付を求める法律上の利益があり、紛争解決の必要性および実効性が認められる。したがって、当該公文書の非公開「決定の取消しを求める訴えの利益(個々の請求内容について、本案判決による紛争解決の必要性および実効性があることをいう)は消滅する」ものではない(最判平14.2.28)。

4×
「条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合」でも、「そのことにより直ちに、国家賠償請求において、当該決定」につき、「国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける」ものではない。理由は、国家賠償法1条1項の「違法」とは、国民の権利・利益の救済と適正な公務の確保との調和から、公権力の不当な行使かどうか公務員の主観面も含めて判断すべきである。すなわち、客観的な違法事由を踏まえ、公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記決定をしたと認め得る等の事情がある場合に、違法の評価を受けるとすべきである(最判平18.4.20)。

5×
「法律上の争訟」とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、法律を適用することにより終局的に解決することができるものをいう(最判平13.7.13)。地方公共団体の長が建物の建築工事計画書についてした公開決定は、それにより自衛隊の潜水艦指揮に関する重要な建物の内部が明らかになる。建物攻撃・破壊の危険が生ずる点で、所有者として有する固有の利益が侵害され、さらにそこで働く者の生命・身体への侵害の危険も生ずる。建物管理者としての国の建物所有権、自衛隊員との雇用契約という法律関係の存否に関わる。裁判所の判断で、公開されないことが可能となる点で、「法律を適用することにより終局的に解決することができる」といえる。したがって、当該公開決定に対して、取消しを求める訴えは、「法律上の争訟」に該当する。
短答王国行政書士
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