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令和2年 – 問41 – 行政書士 多肢選択式 憲法
問題41 次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
このような労働組合の結成を憲法および労働組合法で保障しているのは、社会的・
経済的弱者である個々の労働者をして、その強者である[ ア ]との交渉において、対
等の立場に立たせることにより、労働者の地位を向上させることを目的とするものであることは、さきに説示したとおりである。しかし、現実の政治・経済・社会機構の
もとにおいて、労働者がその経済的地位の向上を図るにあたつては、単に対[ ア ]と
の交渉においてのみこれを求めても、十分にはその目的を達成することができず、労働組合が右の目的をより十分に達成するための手段として、その目的達成に必要な[ イ ]
や社会活動を行なうことを妨げられるものではない。
この見地からいつて、本件のような地方議会議員の選挙にあたり、労働組合が、その組合員の居住地域の生活環境の改善その他生活向上を図るうえに役立たしめるた
め、その[ ウ ]を議会に送り込むための選挙活動をすること、そして、その一方策と
して、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することは、組合の活動として許されないわけではなく、また、統一候補以外の組合員であえて立候補しようとするものに対し、組合の所期の目的を達成するため、立候補を思いとどまるよう勧告または説得することも、それが単に勧告または説得にとどまるかぎり、組
合の組合員に対する妥当な範囲の[ エ ]権の行使にほかならず、別段、法の禁ずると
ころとはいえない。しかし、このことから直ちに、組合の勧告または説得に応じない
で個人的に立候補した組合員に対して、組合の[ エ ]をみだしたものとして、何らか
の処分をすることができるかどうかは別個の問題である。
(最大判昭和 43 年 12 月 4 日刑集 22 巻 13 号 1425 頁)
1 | 統制 | 2 | 過半数代表 | 3 | 争議行為 | 4 | 指揮命令 |
5 | 政治献金 | 6 | 国民 | 7 | 地域代表 | 8 | 政治活動 |
9 | 支配 | 10 | 公権力 | 11 | 職能代表 | 12 | 経済活動 |
13 | 管理運営 | 14 | 自律 | 15 | 公益活動 | 16 | 純粋代表 |
17 | 利益代表 | 18 | 国 | 19 | 私的政府 | 20 | 使用者 |
ア:慎重(9)〇×
イ:不服の申立て(17)〇×
ウ:処分基準(13)〇×
エ:意見公募(6)〇×
〔2-41〕
解説
このような労働組合の結成を憲法および労働組合法で保障しているのは、社会的・経済的弱者である個々の労働者をして、その強者である[ア.使用者]との交渉において、対等の立場に立たせることにより、労働者の地位を向上させることを目的とするものであることは、さきに説示したとおりである。しかし、現実の政治・経済・社会機構のもとにおいて、労働者がその経済的地位の向上を図るにあたつては、単に対[ア.使用者]との交渉においてのみこれを求めても、十分にはその目的を達成することができず、労働組合が右の目的をより十分に達成するための手段として、その目的達成に必要な[イ.政治活動]や社会活動を行なうことを妨げられるものではない。
この見地からいつて、本件のような地方議会議員の選挙にあたり、労働組合が、その組合員の居住地域の生活環境の改善その他生活向上を図るうえに役立たしめるため、その[ウ.利益代表]を議会に送り込むための選挙活動をすること、そして、その一方策として、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げてその選挙運動を推進することは、組合の活動として許されないわけではなく、また、統一候補以外の組合員であえて立候補しようとするものに対し、組合の所期の目的を達成するため、立候補を思いとどまるよう勧告または説得することも、それが単に勧告または説得にとどまるかぎり、組合の組合員に対する妥当な範囲の[エ.統制]権の行使にほかならず、別段、法の禁ずるところとはいえない。しかし、このことから直ちに、組合の勧告または説得に応じないで個人的に立候補した組合員に対して、組合の[エ.統制]をみだしたものとして、何らかの処分をすることができるかどうかは別個の問題である。
(最大判昭和 43 年 12 月 4 日刑集 22 巻 13 号 1425 頁)
ア
アには、「使用者」が入る。労働組合の目的は、立場の弱い労働者が集団で行動することで、使用者と対等の立場で交渉できるようにすることにある。よって、交渉相手は、「使用者」である。
イ
イには、「政治活動」が入る。「政治活動」とは、政治に関係する一切の活動をいう。労働組合は、本来、「政治活動」を行う組織ではない。しかし、働く人の声が政治に反映されなければ、労働者の地位の向上は難しい。そこで、労働組合は「目的達成に必要な政治活動」ができる。また、本問は、「地方議会議員の選挙」における「組合の活動」の話であり、「経済活動」や「公益活動」は本筋と関係ないので、ふさわしくない。
ウ
ウには、「利益代表」が入る。「利益代表」とは、利益の実現のために選出された代表者をいう。「職能代表」とは、職域を単位とする代表者をいう。「地域代表」とは、地域を単位とする代表者をいう。労働組合では、職域や地域といった制限はなく、自分たちの利益を実現してくれる人を代表に選ぶのが原則である。
エ
エには、「統制」が入る。「統制」とは、一定の計画や方針に基づき指導・制限することをいう。「勧告または説得」することは「支配」(○イ命令で相手を束縛すること)ではない。また、「勧告または説得に応じない」組合員がいても、組合の「自律」(○イ他人から圧迫干渉をうけず自主的に決定できること)をみだしたとはいえない。
行政書士試験 令和2年度
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