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令和2年 – 問24 – 行政書士 行政法
問題24 地方自治法に基づく住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の 判例に照らし、妥当なものはどれか。
1 住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。
2 住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。
3 住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
4 普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。
5 住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。
正解5〇×
〔2-24〕
解説
1×
住民訴訟とは、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益に関わらない資格で提起する訴訟をいう(行訴法5条)。個人の権利利益ではなく、客観的な法秩序維持のために行政の適法性を担保するための客観訴訟である。個人の利益とは関係のない法秩序維持の訴訟のため、住民訴訟を提起する権利は、一身専属的である。したがって、原告死亡により、「その相続人は、?訴訟を承継すること」はできない(最判昭55.2.22)。
2×
住民訴訟は、行政の適法性を担保するための客観訴訟である。客観的な法秩序維持が目的である。法も住民訴訟を提起し得る者に関しては、「当該普通地方公共団体の住民」であることを要するとするだけである(自治242条の2第1項)。理由は、不正な行政の行為は、過去の事柄であっても、現在の住民にまで影響するおそれが大きい。そのため、住民監査請求権は、選挙権のない外国人や法人であっても広く認めるべきである。
3×
住民監査請求とは、普通地方公共団体の住民が監査委員に対して、財務会計上の違法・不当な行為または不作為に対して、損失を被ることを防止、是正するために、必要な措置を講じるように求める請求をいう(自治242条1項)。監査請求は、対象が財務会計上に関するため、迅速に対応でき負担も大きくない。請求濫用による弊害も少ない。そのため、直接請求としての行政事務への監査請求と異なり、住民は単独で請求できる。したがって、「住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要」はない。
4×
「住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定した」とし ても、普通地方公共団体の議会は、住民の代表からなる民主的な意思決定機関である。議会の意思は尊重 すべきである。権利放棄の議決をすることは、放棄することが当該議会の裁量権の範囲の逸脱・濫用に至 らなければ、認められる。ただし、判断を慎重に行わせるため「あらかじめ監査委員の意見を聴」くこと を要する(自治242条10項)。したがって、「普通地方公共団体の議会は」、「不当利得返還請求権が 裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない」とするのは、 誤りである(最判平24.4.20)。
5○
住民訴訟において、訴訟に要した費用は、公平の観点から、通常の相当な範囲内は敗訴した当該普通地方公共団体が負うべきである(行訴7条、民訴61条)。したがって、「(住民訴訟を提起した者は、)当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求できる」(自治242条の2第12項)。
住民訴訟とは、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益に関わらない資格で提起する訴訟をいう(行訴法5条)。個人の権利利益ではなく、客観的な法秩序維持のために行政の適法性を担保するための客観訴訟である。個人の利益とは関係のない法秩序維持の訴訟のため、住民訴訟を提起する権利は、一身専属的である。したがって、原告死亡により、「その相続人は、?訴訟を承継すること」はできない(最判昭55.2.22)。
2×
住民訴訟は、行政の適法性を担保するための客観訴訟である。客観的な法秩序維持が目的である。法も住民訴訟を提起し得る者に関しては、「当該普通地方公共団体の住民」であることを要するとするだけである(自治242条の2第1項)。理由は、不正な行政の行為は、過去の事柄であっても、現在の住民にまで影響するおそれが大きい。そのため、住民監査請求権は、選挙権のない外国人や法人であっても広く認めるべきである。
3×
住民監査請求とは、普通地方公共団体の住民が監査委員に対して、財務会計上の違法・不当な行為または不作為に対して、損失を被ることを防止、是正するために、必要な措置を講じるように求める請求をいう(自治242条1項)。監査請求は、対象が財務会計上に関するため、迅速に対応でき負担も大きくない。請求濫用による弊害も少ない。そのため、直接請求としての行政事務への監査請求と異なり、住民は単独で請求できる。したがって、「住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要」はない。
4×
「住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定した」とし ても、普通地方公共団体の議会は、住民の代表からなる民主的な意思決定機関である。議会の意思は尊重 すべきである。権利放棄の議決をすることは、放棄することが当該議会の裁量権の範囲の逸脱・濫用に至 らなければ、認められる。ただし、判断を慎重に行わせるため「あらかじめ監査委員の意見を聴」くこと を要する(自治242条10項)。したがって、「普通地方公共団体の議会は」、「不当利得返還請求権が 裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない」とするのは、 誤りである(最判平24.4.20)。
5○
住民訴訟において、訴訟に要した費用は、公平の観点から、通常の相当な範囲内は敗訴した当該普通地方公共団体が負うべきである(行訴7条、民訴61条)。したがって、「(住民訴訟を提起した者は、)当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求できる」(自治242条の2第12項)。
行政書士試験 令和2年度
- 問3 令和2年 憲法
- 問4 令和2年 憲法
- 問6 令和2年 憲法
- 問7 令和2年 憲法
- 問8 令和2年 行政法
- 問9 令和2年 行政法
- 問10 令和2年 行政法
- 問11 令和2年 行政法
- 問12 令和2年 行政法
- 問13 令和2年 行政法
- 問14 令和2年 行政法
- 問15 令和2年 行政法
- 問16 令和2年 行政法
- 問17 令和2年 行政法
- 問18 令和2年 行政法
- 問19 令和2年 行政法
- 問20 令和2年 行政法
- 問21 令和2年 行政法
- 問22 令和2年 行政法
- 問23 令和2年 行政法
- 問24 令和2年 行政法
- 問25 令和2年 行政法
- 問26 令和2年 行政法
- 問27 令和2年 民法
- 問28 令和2年 民法
- 問29 令和2年 民法
- 問30 令和2年 民法
- 問31 令和2年 民法
- 問32 令和2年 民法
- 問33 令和2年 民法
- 問34 令和2年 民法
- 問35 令和2年 民法
- 問36 令和2年 商法
- 問37 令和2年 商法
- 問38 令和2年 商法
- 問39 令和2年 商法
- 問40 令和2年 商法
- 問41 令和2年 多肢選択式 憲法
- 問42 令和2年 多肢選択式 行政法
- 問43 令和2年 多肢選択式 行政法