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令和2年 – 問43 – 行政書士 多肢選択式 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題43 次の文章は、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰等が違法であるとし て、当該懲罰を受けた議員が提起した国家賠償請求訴訟に関する最高裁判所の判決の一節である(一部修正してある)。空欄 [ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法 1 条 1 項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、[ ア ]の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1項にいう[ イ ]に当たり、適法というべきである。
もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法であることを前提とするものである。
普通地方公共団体の議会は、憲法の定める[ ウ ]基づき自律的な法規範を有する ものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、[ エ ]の問題にとど まる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の 措置が[ ア ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっ ても、異なることはないというべきである。
したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員 の[ ア ]を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、 当該措置が(エ)の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提 として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。
(最一小判平成 31年2月 14 日民集 73巻2号 123 頁)

1 公法上の地位 2 一般市民法秩序 3 直接民主制
4 既得権 5 地方自治の本旨 6 知る権利
7 制度改革訴訟 8 行政立法 9 立法裁量
10 議会の内部規律 11 私法上の権利利益 12 統治行為
13 公法上の当事者訴訟 14 道州制 15 権力分立原理
16 当不当 17 自己情報コントロール権 18 法律上の争訟
19 抗告訴訟 20 司法権    

正解

ア:私法上の権利利益(11)×

イ:法律上の争訟(18)×

ウ:地方自治の本旨(5)×

エ:議会の内部規律(10)×

〔2-43〕

解説

【完成文】
本件は、被上告人(議員)が、議会運営委員会が厳重注意処分の決定をし、市議会議長がこれを公表したこと(以下、これらの行為を併せて「本件措置等」という。)によって、その名誉を毀損され、精神的損害を被ったとして、上告人(市)に対し、国家賠償法 1 条 1 項に基づき損害賠償を求めるものである。これは、ア.私法上の権利利益の侵害を理由とする国家賠償請求であり、その性質上、法令の適用による終局的な解決に適しないものとはいえないから、本件訴えは、裁判所法3条1 項にいうイ.法律上の争訟に当たり、適法というべきである。
もっとも、被上告人の請求は、本件視察旅行を正当な理由なく欠席したことを理由とする本件措置等が国家賠償法 1 条 1 項の適用上違法であることを前提とするものである。 普通地方公共団体の議会は、憲法の定めるウ.地方自治の本旨に基づき自律的な法規範を有するものであり、議会の議員に対する懲罰その他の措置については、エ.議会の内部規律の問題にとどまる限り、その自律的な判断に委ねるのが適当である。そして、このことは、上記の措置がア.私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断する場合であっても、異なることはないというべきである。
したがって、普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰その他の措置が当該議員のア.私法上の権利利益を侵害することを理由とする国家賠償請求の当否を判断するに当たっては、当該措置がエ.議会の内部規律の問題にとどまる限り、議会の自律的な判断を尊重し、これを前提として請求の当否を判断すべきものと解するのが相当である。
(最一小判平成 31 年 2 月 14 日民集 73 巻 2 号 123 頁)


アには、「私法上の権利利益」が入る。民法上、「他人」の「名誉を侵害」した者は損害賠償の責任を負う(民710条)。また、「裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる」(民723条)。このように、名誉は私法上保護される権利利益である。よって、「私法上の権利利益」が正解となる。


イには、「法律上の争訟」が入る。法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって法律を適用することにより終局的に解決することができるものをいう。名誉は私法上の保護を受ける具体的な権利義務である。また、名誉侵害は、民法上「損害賠償」や「名誉を回復するのに適当な処分」を適用することにより終局的に解決できる。したがって、本件訴えは「法律上の争訟」に当たる。よって、「法律上の争訟」が正解となる。


ウには、「地方自治の本旨」が入る。地方公共団体は、国家から独立して自己の目的と意思をもち、自らの責任において自己の事務を処理する。したがって、議会の議員に対する措置も、「自律的な判断に委ねるのが適当である」。憲法も「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて」定めるとしており、地方議会の自律権を認めていると解される(憲92条)。よって、「地方自治の本旨」が正解となる。


エには、「議会の内部規律」が入る。議会には自律権があるため、裁判所による議会への介入はできる限り避けるべきである。そこで、「議会の内部規律の問題にとどまる限り」「議会の自主的な判断を尊重」する。よって、「議会の内部規律」が正解となる。
短答王国行政書士
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