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令和2年 – 問20 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題20  国家賠償法に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正し いものの組合せはどれか。

ア 同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法 1 条 1 項に基づく損害賠償責任を負うことはない。
イ 税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法 1 条 1 項にいう違法があったとはされない。
ウ 国家賠償法 1 条 1 項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。
エ 国家賠償法 1 条 1 項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

正解イ:エ×

〔2-20〕

解説

ア×
「複数の公務員」による「一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合」、「直接の原因となった公務員の違法行為が特定」できなくとも、「当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う」。理由は、国家賠償法とは、憲法17条に基づき、国民の権利救済から制定された公権力の行使に対して、国家が賠償責任を認める法である。たとえ、直接の原因となった違法行為が特定されなくとも、同一の行政主体に属する複数の公務員による「職務を行う」ことにより、国民に損害が生じている。国民の権利救済を図る必要があるからである(最判昭57.4.1)。

イ○
税務署長が所得税の更正部分につき、「所得金額を過大に認定し、取消訴訟で取り消されたとしても」、「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない」。理由は、当該税務署長は、更正処分をするに際して、「(客観的には、)所得金額を過大に認定し」ており、法に反するように思われるが、「主観的には職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしてい」る。行為を全体として評価するなら、国家賠償法1条1項にいう「違法」とは、いえないからである(最判平5.3.11)。

ウ×
職務行為を理由とする公務員の不法行為については、公務員個人は賠償責任を負わない。したがって、訴えは請求に理由がないものとして棄却(訴訟上の請求には、理由がないとの判断をいう)される。却下(訴訟要件を欠いた場合の裁判所の不適法との判断をいう)ではない。理由は、国又は地方公共団体が、国家賠償法に基づく責任を負うからである(代位責任説〈通説・判例〉)。国家賠償法1条1項は、国の代位責任を定めた規定である。公務員の不法行為は、国のために公務員が行う行為から生じている。仮に、公務員個人も責任を負うとすると、公務員が萎縮し、業務が滞るからである(最判昭30.4.19)。

エ○
国家賠償法1条1項が定める「公務員が職務を行うについて」は、公務員が主観的に権限行使の意思をも ってする場合だけでなく、「自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務行為の 外形を備える行為をしたときは」該当する。理由は、国家賠償法は、「公務員が職務を行う」に際して、 国民の権利侵害をした場合の救済の規定である。「公務員が職務行為を行うについて」かどうかは、その 行為者の(不安定な)主観だけではなく、客観的事情も踏まえて広く判断するのが、損害を受けた国民 の救済に資するからである(最判昭31.11.30)。

短答王国行政書士
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