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令和2年 – 問32 – 行政書士 民法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題32 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。
2 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
3 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。
4 請負契約においては仕事完成義務と報酬支払義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても、特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない。
5 売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。

正解5×

〔2-32〕

解説

1×
詐欺を行った者は保護に値しないので、同時履行の抗弁権を行使できないとも思える。しかし、詐欺を行った者から履行させると、取消権者が履行しないおそれがあり不当である。同時履行の抗弁権が認められた趣旨は、当事者の公平である。したがって、詐欺取消し後の原状回復義務の履行につき、詐欺を行った者も、公平の観点から、抗弁権を行使できる。よって、肢は誤り。
<条文> 96条1項、533条
<判例> 最判昭47.9.7

2×
賃借人の造作買取請求権は建物引渡債務と対価関係に立たない。造作代金は造作の対価で、建物の対価ではないからである。したがって、賃貸人が造作代金を提供しない間でも、賃借人には、同時履行の抗弁権は認められず、家屋の明渡しを拒めない。よって、肢は誤り。
<条文> 借地借家法33条1項前段、533条
<判例> 最判昭29.7.22

3×
賃借人保護のため、家屋の明渡しと敷金返還を同時履行とすべきではないか。しかし、敷金は、賃貸借契約中生ずる賃借人の賃料債務その他の債務を担保するものである。敷金から控除される額は、明渡した後、家屋を調査して初めて確定できるので、家屋の明渡しを先履行とすべきである。敷金返還請求権は賃借人が目的物を明け渡すときに発生する。よって、肢は誤り。
<条文> 533条、622条の2・1項1号
<判例> -

4×
請負契約は、仕事の完成とそれに対する報酬の支払いを内容とする。仕事の完成にとどまらず、完成した目的物の引渡しを要する場合、引渡しと報酬の支払いを同時としなければ、当事者間の公平性に欠ける。したがって、注文者は、仕事の目的物の引渡しを受けるまで、請負人に対し、報酬の支払を拒める。よって、肢は誤り。
<条文> 633条本文
<判例> -

5○
当事者の一方が一度、弁済の提供をして相手方の同時履行の抗弁権を奪った場合でも、後に相手方に対して債務の履行を請求するには、再度、弁済の提供を要する。弁済の提供をした者が、後に契約目的物を第三者に譲渡したり無資力となった場合、相手方が反対給付を受けられないのに債務の履行強いることとなり、公平に反するからである。したがって、売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。よって、肢は正しい。
<条文> 533条
<判例> 最判昭34.5.14

短答王国行政書士
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