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令和2年 – 問17 – 行政書士 行政法

問題更新:2022-08-20 18:00:00

問題17  狭義の訴えの利益に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照ら し、正しいものの組合せはどれか。

ア 森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。
イ 土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了したため、当該認可処分に係る事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点からみて、社会通念上、不可能であるとしても、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。
ウ 建築基準法に基づく建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後でも、当該建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われない。
エ 都市計画法に基づく開発許可のうち、市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

正解イ:エ×

〔2-17〕

解説

ア×
「水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上から当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められる」場合、保安林指定解除処分の取消しを訴える「訴えの利益」は失われる。理由は、「訴えの利益」とは、個々の請求内容について、本案判決による紛争解決の必要性および実効性があることをいう。本件では洪水や渇水の危険が解消され、当該保安林の存続の必要性が失われた。そのため保安林指定解除処分の取消しを訴えにより、紛争を解決するための必要性および実効性はなくなったからである(最判昭57.9.9)。

イ○
「土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消しが求められた場合において、当該事業の計画に係る改良工事及び換地処分がすべて完了」し、「事業施行地域を当該事業施行以前の原状に回復することが、社会的、経済的損失の観点から、社会通念上、不可能であるとしても、当該許可処分の取消しを求める訴えの利益は失われない」(最判平4.1.24)。理由は、現状に回復することが、社会通念上、不可能であるとしても、改良工事及び換地処分完了は、土地に関するものである。建物建築は、その土地の事業施行認可処分が有効であることが前提である。前提処分を違法とし、取り消す必要性と実効性が、なお認められるためである。

ウ×
「建築基準法に基づく建築物の建築確認の取消しが求められた場合において、当該建築確認に係る建築物の建築工事が完了した後」は、当該建築確認の取消を求める「訴えの利益」は、失われる。理由は、確認を受けた建築物の工事が完了してしまっても、仮に取消しが認められるとすると、完成した建物を改めて破壊し、撤去することになる。当事者間の紛争を解決するための必要性は認められても、実効性が認められないからである(最判昭59.10.26)。

エ○
「市街化調整区域内にある土地を開発区域とするものの取消しが求められた場合において、当該許可に 係る開発工事が完了し、検査済証の交付がされた後でも、当該許可の取消しを求める訴えの利益は失わ れない」。理由は、開発工事が完了し、当該工事の検査済証が交付された後においても、土地開発が終 了しただけである。当該許可の取消しにより初めて、その効力を前提とする建築物等の建築等が可能と なる法的効果を排除することができる。処分を違法とし、取り消す必要性と実効性が認められるからで ある(最判平27.12.14)。

短答王国行政書士
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